光合成細菌 RAP99 の自然免疫系試験(in vivo,in vitro)

自然免疫系試験

マウス脾臓における免疫細胞の活性化試験

【目的】

RAP99-LPSによる、マウスの脾臓を用いた免疫細胞の活性化を確認する。

【試験方法】

マウスにRAP99-LPSを8日間接種(静脈注射)し、脾臓での免疫細胞数の変化を確認した。

マウスにRAP99-LPSを静脈注射する画像

【結果・考察】

RAP99-LPSを投与したところ、樹状細胞*1やマクロファージ*2、NK細胞*3など自然免疫系*4の免疫細胞と、活性化ヘルパーT細胞*5や活性化キラーT細胞*6などの獲得免疫系*7の免疫細胞数の増加が認められた。

自然免疫系の免疫細胞の増加と獲得免疫系の免疫細胞の増加画像
図1 マウスの脾臓の免疫細胞の活性化

図1 マウスの脾臓の免疫細胞の活性化

<用語解説>

*1 樹状細胞:樹の枝のような突起を多数もつ免疫細胞であり、自然免疫系に属する。体内に侵入した異物を認識、貪食してペプチドを分解してMHC分子上に提示して当該ペプチドを認識するT細胞を活性化する。活性化によって大量のサイトカインを放出する。体の全ての部位に存在し、異物を貪食してリンパ節、脾臓などに移動してT細胞に抗原を提示する。

*2 マクロファージ:マクロファージは自然免疫系に属する。体内に侵入した異物を貪食し、消化・排出し、感染拡大を防ぐ。

*3 NK細胞:ナチュラルキラー細胞はリンパ球様の形態をした自然免疫系の細胞。ウイルス感染、がん化によって細胞表面のMHC分子が減少する場合があるが、それを感知して当該細胞にアポトーシスと引き起こして排除する。

*4 自然免疫:ウイルス・細菌などの異物が身体に侵入した時に、哺乳類とは異なる形の物質のパターンを認識して反応する免疫細胞(マクロファージ、樹状細胞、NK細胞など)が関与する免疫反応。獲得免疫の活性化に必須で獲得免疫よりも先行して反応する。

*5 活性化ヘルパーT細胞:免疫細胞の中の指揮者に例えられる重要なT細胞。特異的なマーカーはCD4分子である。樹状細胞のMHCクラスII分子にて抗原提示を受け活性化するがその時、大量のサイトカインなどの可溶性分子を放出して周囲の免疫細胞の反応性を制御する。抗原提示時に周囲に存在するサイトカインにて自身が産生するサイトカインが決まる。それぞれIFNg、IL-4、IL-17を産生するTh1、Th2、Th17細胞などがある。

*6 活性化キラーT細胞:ウイルス感染細胞、がん化細胞に直接アポトーシスなどの細胞死を誘導するT細胞。特異的なマーカーはCD8分子である。樹状細胞のMHCクラスI分子にて抗原提示を受け活性化する。体内でのウイルス感染細胞、がん化細胞を含む異物の存在を監視する細胞で正常な活性化に活性化ヘルパーT細胞を必要とする。

【試験責任者:北海道大学遺伝子病制御研究所/大学院医学研究院 分子神経免疫学教室】

模擬ウイルスを用いたマウスの免疫応答

【目的】

RAP99-LPSによる、合成二本鎖RNA(poly(I:C))を用いたマウスの模擬ウイルスに対する免疫応答作用を確認する。

【試験方法】

予めRAP99-LPSを毎日5回、5日間マウスに接種し、6日目に模擬ウイルス(poly(I:C))*1を接種した。血清中の炎症性サイトカイン*2の産生量を調べ、さらに脾臓中での炎症誘導機構(IL-6アンプ)*3の活性化を解析した。

マウスにRAP99-LPSを静脈注射する画像

【結果・考察】

マウスにRAP99-LPSを投与することで、免疫細胞の遊走を促進するpoly(I:C)依存性のケモカイン発現が維持されたまま、免疫反応の暴走の原因である炎症性サイトカイン発現と脾臓でのIL-6アンプ活性化が抑制された。

マウス血清中のカモカイン

図1 マウス血清中のケモカイン

マウス血清中の炎症性サイトカイン

図2 マウス血清中の炎症性サイトカイン

マウス脾細胞中のIL-6アンプ活性化因子の発現

図3 マウス脾細胞中のIL-6アンプ活性化因子の発現

以上の結果より、RAP99-LPSは、免疫細胞の暴走の原因である炎症性サイトカイン発現の抑制、さらに脾臓でのIL-6アンプ活性化の抑制効果があると考えられる。

<用語解説>

*1 poly(I:C):ポリイノシン酸:ポリシチジル酸の略であり、新型コロナウイルスなどのRNAウイルス感染を模倣する。二本鎖RNAの合成類似体であり、TLR3分子にて認識される。

*2 炎症性サイトカイン:サイトカインは、もともと免疫細胞間の情報伝達を行い、免疫細胞の活性化状態を変化させる可溶性の分子として定義された。炎症性サイトカインは、それらの中で免疫細胞を活性化させるものでIL-6をはじめ,IL-1b, IL-8, TNFaなどがある。

*3 IL-6アンプ: 血管内皮細胞や線維芽細胞など非免疫細胞が活性化された免疫細胞が産生するサイトカインを受け取ると転写因子であるSTAT3とNFκBなどの活性化が生じる。IL-6アンプは2008年に発見されたコンセプトで非免疫細胞にてSTAT3とNFκBが同時に活性化された場合に非常に強いNFκBが生じてNFκB の標的分子であるIL-6、ケモカイン(遊走因子)、増殖因子などが局所産生され炎症が拡大する分子機構。炎症時のSTAT3活性化因子がIL-6が主体であるためにこの名がある。

【試験責任者:北海道大学遺伝子病制御研究所/大学院医学研究院 分子神経免疫学教室】

マクロファージ細胞RAW267.4細胞に対するNO産生試験

マクロファージとは

RAP99濃度によるNO産生量の変化について

RAP99濃度によるNO産生量の変化について

白血球の1種で、異物を貪食する、敵の情報を他の免疫細胞に伝える、サイトカインを産生するなどの働きをもつ。本試験ではマウスのマクロファージ細胞を用い、活性化されると産生する一酸化窒素(NO)の量を測定した。

結果・考察

光合成細菌RAP99を加えることによって NO量 が増加。これはマクロファージが光合成細菌RAP99によって活性化されたことを示しており、生体防御機能も高まるのではないかと推察される。

【試験責任者:東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)教授 石川正明】

51Cr遊離法を用いたNK細胞活性測定試験

NK細胞とは

細胞障害活性と脾臓細胞によるNK活性について

細胞障害活性と脾臓細胞によるNK活性について

免疫を司るリンパ球の1種。数ある免疫細胞の中でも、がんに対して高い攻撃力を持つことで知られている。本試験では、光合成細菌RAP99によりNK細胞の活性がどれだけ高まるかを測定した。

結果・考察

光合成細菌RAP99によってNK細胞の活性が上昇。

標的となるYAC-1細胞に対し、NK細胞を含んでいる脾臓の割合を1:50として混合した試料において、特に細胞障害活性が対照と比較して1.7倍増加。

光合成細菌RAP99のがん細胞増殖抑制効果が、免疫細胞の活性化によるものである可能性が考えられた。

【試験責任者:東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)教授 石川正明】

マクロファージ細胞RAW267.4細胞に対するTNF-α産生試験

サイトカインとは

RAP99濃度とTNF-α産生量の関係について

主にマクロファージから産生される物質。その中でも「TNF-α」は腫瘍壊死因子と呼ばれ、がん細胞の増殖を抑えるサイトカインとして注目されている。本試験では、マウスのマクロファージ細胞を用い、TNF-α産生量を調べることで、免疫反応の指標とした。

結果・考察

光合成細菌RAP99を加えることによって、サイトカインTNF-αが増加。これにより、免疫細胞が活性化されることが推察される。

【試験責任者:東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)教授 石川正明】

HEK293細胞を用いたTLR活性化確認試験

TLRとは

TLRは、トル様受容体(Toll Like Receptor)といい、細菌やウイルスなどの外敵の侵入を感知するセンサーの働きをしている。自然免疫系の細胞が持っており、ヒトでは現在10種類(TLR1~TLR10)が確認されている。それぞれが異なる病原体を認識して活性化し、獲得免疫へと誘導される。

試験の目的

光合成細菌RAP99(以下RAP99)およびRAP99由来LPS(以下RAP99-LPS)によるTLRの活性化について、HEK293細胞※1を用いて明らかにする。

※1:ヒト胎児の腎臓由来の細胞株のこと。

これにTLR遺伝子を導入させたものを試験に用いた。TLRが活性化されるとIL-8※2が産生されるように設計されている。

※2:細胞間の相互作用に関与する物質であり、自然免疫系の重要な役割を担っている。

試験結果

各TLR遺伝子を導入したHEK細胞(①TLR導入なし、②TLR4、③TLR2、④TLR9、⑤TLR4/MD2/CD14※3)を用いてTLR活性試験を行った。TLRが活性化されるとIL-8が産生されるため、IL-8の濃度が高いほどTLRが活性化されていることを示す。

陰性対照物質は培養液(medium)、陽性対照物質は乳酸菌死菌、または小麦やサツマイモなどの植物と共生している細菌より精製したLPS(以下、LPSp)を用いた。結果を以下に示す。

※3:TLR4にMD2やCD14といった補助因子を結合させたもの。

TLR4は単体で用いるよりも、MD2やCD14と結合することで機能を発揮するといわれている。よって、TLR4活性試験はTLR4単体と、TLR4にMD2およびCD14を結合したTLR4/MD2/CD14の2種類を行った。

図1 TLR導入なしHEK細胞におけるIL-8産生結果

①TLR導入なしHEK細胞

図1にTLR導入なしHEK細胞におけるIL-8産生結果を示す。

この結果、全てにおいてIL-8の誘導は認められなかった。

図2 TLR4導入HEK細胞におけるIL-8産生結果

②TLR4導入HEK細胞

図2にTLR4導入HEK細胞におけるIL-8産生結果を示す。

この結果、陽性対照物質のLPSpではIL-8が産生されたと考えられるが、その他の試料ではバラつきが大きく、有意な値ではないと考えられる。

図3 TLR2導入HEK細胞におけるIL-8産生結果

③TLR2導入HEK細胞

図3にTLR2導入HEK細胞におけるIL-8産生結果を示す。

この結果、RAP99熱水抽出物とRAP99粉砕懸濁液では、陽性対照物質の乳酸菌死菌と同様に用量依存的なIL-8の誘導が認められた。よって、RAP99熱水抽出物およびRAP99粉砕懸濁液はTLR2を活性化させる働きがあることが推測された。また、RAP99-LPSについては、IL-8の誘導は認められなかった。

図4 TLR9導入HEK細胞におけるIL-8産生結果

④TLR9導入HEK細胞

図4にTLR9導入HEK細胞におけるIL-8産生結果を示す。

この結果、RAP99熱水抽出物とRAP99粉砕懸濁液では、用量依存的なIL-8の誘導が認められた。よって、これらはTLR9を活性化させる働きがあることが推測された。また、RAP99-LPSについては、IL-8の誘導は認められなかった。

図5 TLR4/MD2/CD14導入HEK細胞におけるIL-8産生結果

⑤TLR4/MD2/CD14導入HEK細胞

図5にTLR4/MD2/CD14導入HEK細胞におけるIL-8産生結果を示す。この結果、いずれの試料からもIL-8の産生が認められ、特に陽性対照物質のLPSpとRAP99-LPSは低用量からIL-8の産生が認められた。

よって、RAP99-LPS、RAP99熱水抽出物およびRAP99粉砕混濁液のいずれにおいてもTLR4を活性化させる働きがあることが推測された。 TLR4を単体で用いた場合には、IL-8の産生は有意なものとして認められなかったので(図2参照)、TLR4を活性化させるためには補助因子であるMD2とCD14が必要であると考えられる。

結果まとめ・考察

表1に結果のまとめを示す。+は活性化、-は反応なし、±はどちらともいえないことを示す。

表1 RAP99のTLR活性試験結果まとめ

以上の結果から、RAP99-LPSは、TLR4を活性化させることが明らかになった。

ただし、TLR4単体では有意な結果が得られなかったことから、TLR4を活性化させるためには、補助因子であるMD2およびCD14が必要であることがわかった。

また、RAP99熱水抽出物およびRAP99粉砕懸濁液については、TLR2、4および9のいずれも活性化させると考えられる。

【試験責任者:自然免疫応用技研株式会社】