抗腫瘍系試験
マウスの黒色腫細胞を用いた肺転移抑制試験
【目的】
RAP99-LPSによる、マウスの黒色腫細胞を用いた肺転移抑制の有無を確認する。
【試験方法】
マウスに黒色腫細胞(B16-F1*1)を接種させた後、RAP99-LPSを14日間接種させ、15日目に肺に転移したB16-F1細胞のコロニー数を計測した。
【結果・考察】
RAP99-LPSを投与したマウスの体重は減少せず維持され、また、コントロールと比較してB16-F1細胞の転移が抑制されていることが明らかとなった。
図1 B16-F1細胞を接種したマウスの体重変動
図2 転移細胞のコロニー数
以上の結果より、RAP99-LPSはマウスのB16-F1細胞の肺転移を抑制する作用があると考えられる。
<用語解説>
*1 B16-F1細胞:マウスの黒色種細胞を細胞株化した細胞でマウスに投与してがん細胞の増殖、がん細胞の転移の実験に用いられる。
【試験責任者:北海道大学遺伝子病制御研究所/大学院医学研究院 分子神経免疫学教室】
マウス肉腫細胞サルコーマ180(Sarcoma180)を用いた固形がんに対する抗腫瘍試験
目的
5週齢の雄のマウスを用い、光合成細菌RAP99を抗がん剤と併用することでがん細胞の増殖抑制にどのような効果がみられるかを試験した。
本試験では、MMC(マイトマイシンC)および5-FU(5-フルオロウラシル)の2種類の抗がん剤を用いた。
試験に用いた抗がん剤
光合成細菌RAP99を用いた抗がん剤との併用によるがん増殖抑制効果
◎MMC(マイトマイシンC) 0.03mg/kg
微生物から作り出された抗がん剤。古くから様々ながんに対して用いられている。
◎5-FU(5-フルオロウラシル) 0.5mg/kg
主に消化器系のがんに対して用いられる一般的な抗がん剤。
結果・考察
MMC単独では25.1%の腫瘍増殖抑制作用が観察されたが、光合成細菌RAP99を併用することで抑制率が42.5%にまで増加。
また、5-FUでは単独でわずか15.2%の作用しか示さなかったが、光合成細菌RAP99を併用することで46.3%に増加。腫瘍の増殖抑制を約3倍も向上させる結果となった。
以上の結果から、光合成細菌RAP99を抗がん剤と併用することで、腫瘍の増殖をさらに抑える効果が期待される。ただし、光合成細菌RAP99は量が多ければよいというわけではなく、最も効果が高い「至適濃度」がある。これについては各抗がん剤について検討する必要があると思われる。
【試験責任者:東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)教授 石川正明】
ルイス肺がん細胞(3LL)を用いた抗腫瘍作用評価試験
目的
光合成細菌RAP99菌から抽出されたリポ多糖(光合成細菌RAP99由来LPS(以下 RAP99-LPS))の抗腫瘍作用を確認するため、がん細胞であるルイス肺がん細胞3LLを用いて、がん細胞の増殖抑制試験を行った。
試験方法
マウスの腹部にルイス肺がん細胞を移植し、一定の腫瘍サイズになった時点でRAP99-LPSを投与し、腫瘍サイズを計測した。投与の際、RAP99-LPS単独および抗がん剤とRAP99-LPSとの同時使用の2種類の試験を行った。本試験では抗がん剤はシクロフォスファミド(CPA)を用いた。
また、比較陽性対照物質として、Poly(I:C) (Polyinosinic-polycytidylic acid sodium salt、InvivoGen)を用いて、同様に試験を行った。
結果・考察
※陰性対照群とは試験に対して効果がないことが分かっている物質、陽性対照群とは期待される効果があることが分かっている既知の物質。
※ip:腹腔内投与、po:経口投与
- 陽性対照として用いたPoly(I:C)単独使用では、11~17日目において42.5~60%の増殖抑制率を示した。Poly(I:C)と抗がん剤CPA併用では53.8~88.7%の抑制率を示した。
- 抗がん剤CPAのみでは、11~17日目において43.3~59.3%の抑制率を示した。
- RAP99-LPS単独使用の腹腔内投与では、20.3~32.9%の抑制率を示した。RAP99-LPSとCPA併用の腹腔内投与では、45.1~71.2%の抑制率を示し、特に14日目において高い抑制率となっている。
- RAP99-LPS単独使用の経口投与では、24.7~39.7%の抑制率を示した。RAP99-LPSとCPA併用の経口投与では、48.7~72.4%の抑制率を示し、特に14日目、17日目が高い抑制率となっている。
以上の結果より、抗がん剤単独で用いるより、抗がん剤とRAP99-LPSを併用して用いることで腫瘍拡大を抑えることができると考えられる。
また、RAP99-LPSと陽性対照であるPoly(I:C)を比較したところ、単独使用ではPoly(I:C)の方が抑制率が高いものの、抗がん剤と併用することによって同程度の抑制率を示すことがわかった。
【試験責任者:自然免疫応用技研株式会社】